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ある友人

2012年07月13日

 以前、学生時代の先輩の友人で同じ演劇に携わる者として親交のあった人が、病で亡くなった事があった。
 彼は、私より二歳上で古典好きでジャッキー好きだったので会話も楽しく、芝居に対しても純粋な面があり、会っている時は楽しく、周りを楽しませようと彼なりに考えているのが判り、好感を持っていた。
 だが、彼は病に倒れ、そして逝ってしまった。
 彼はその病に倒れる時まで、私たちには何も言わなかった。私たちは彼が長く生きられない病を背負っている事すら知らなかった。
 知られたくないという彼特有の美意識があったのだと察する事は出来るけど、だけど私はズルいと心底怒った。情けなくて悔しくてたまらなかった。
 別に彼は死にたかったわけでもなく、寧ろ生きたかったに違いないのだけれど、どこかで独り、死を意識して私たちと付き合っていたのだと思うと、それが悔しくて哀しかった。
 そんなのズルいじゃないか。
 気付いてあげられなかった事が悔しくて哀しくてたまらない、そんな私たちを残して一人で突然に逝ってしまった彼に、「そんなのズルいじゃないか!」と一言も言えず、こんな気持ちだけを残されてしまった私は、そんなふうにしか思えませんでした。

 小学校以来の友人で、学生だった頃はあまり話した事は無いのですが同学年はほぼ判る地域なので、同級生だということや人となり程度は知っていた友人で藤野霧子(仮称)という人がいました。
 彼女とは奇妙な縁があり、家庭の事情で高校に行かなかった彼女の勤め先に私がバイトに行って、少し話すようになりました。
 体の弱い人ではありましたがその分色白で綺麗な肌が透通る様で、はにかんだような笑顔がとてもチャーミングな人で、気立ての良さと真面目さで職場の人にも可愛がられていました。あまり真面目でないあの頃の私には(いや今も)、やはりちょっと遠い存在な感じがして、同級生ながらも親交を深めるに至りませんでした。

 その後数年を経て、ちょっと就職しようと柄にもなく思い(芝居を続けるために就職はほとんどせず、バイトで過ごしてきた)めでたく就職した先にいたのがまたしても霧子ちゃんでした。
「あれぇぇぇぇ!!」
「ええぇぇぇぇぇぇ!!」
 二度に重なる偶然に、お互い驚いていました。
 出版関係の仕事でしたが、霧子ちゃんは入力のエキスパートで、私は当時の新しいソフトを使って実験的に画像作成するということで雇われていたのですが、支所のある場所とは遠方の第二支所勤務ということで監視の目も緩かったのもあり、第二支所は独自の雰囲気の中でまったりと仕事をしておりました。
 そんな中である朝、彼女がここに来る前に勤めていた本屋さんの話になり、その本屋さんに長年勤務していた人が私の友人だったこともあり、霧子ちゃんの事についてあまりよくない話が耳に入っていた私はその時意を決してあまりよくない話を聞いたけど大丈夫なのか?と彼女に問いかけた。
 その事について霧子ちゃんは長い時間を掛けて私と話をしてくれました。霧子ちゃんのプライバシーの話なので内容は省きますが、その時の彼女はとても真摯で真剣で、聞いている私も刃の上で聞いているような緊張感であった事を今でも覚えています。
 あの時霧子ちゃんは、「桂さんは本当の事を言ってくれたから、私もちゃんと知って欲しかった。噂話や好奇心で言ったんじゃないから、きちんと説明したかったんだよ」とそう言っていた。
 自分の気持ちを判ってもらえて私は嬉しかった。
 私は彼女を信じていたけれど、聞いた話はおよそ彼女には似つかわしくない内容で、そんな噂を立てられてしかも、彼女自身も判っているだろうと思われるので、敢て聞いてみたのだが、私の気持ちが通じた事が嬉しくて、霧子ちゃんも心配している私に応えようとしてくれて、そんな気持がお互いに嬉しくてしみじみと話し合った。

 そんな素敵な職場も、私の仕事は早々に打ち切りになり(今から思えば当り前だな。何しろ使っていたソフトは花子だもん)、支所も統合されて一気につまらない職場になり果てました。
 それと機を同じくして私もやはり芝居をまだ捨てられず、魅惑的な話に乗る様な形で職場を去りましたが、彼女の事はずっと頭の片隅にありました。

 それからまた数年後、親友の口から信じられない言葉を聞きました。
「霧子、自殺したよ」
「え?嘘!?なんで!!!」
「病院の屋上から・・・。」
「・・・ずっと病院通いしてたのは知ってるよ!だけど、なんで!?」
「・・・さぁ。詳しい事は」
「どうしよう・・・。私、昨日、霧子の夢をみたんだよ!」
「告知されるのを知っていたのかねぇ・・・」
「こんな偶然って、ある!?」
 混乱した私は、友人に涙交じりに訴えていました。

 本当に彼女は、あの病院で死んでしまったのだろうか?
 またどこかに、私が就職をしたらそこにいるのではないか?
 半信半疑な気持があまりにも強くて信じられなかった。
 時々、親友と話した事の方が夢だったんじゃないかとさえ思ったりしていた。

 だけど、定期的に来る同窓会の案内に隣のクラスだった彼女の墓前参りの記載があったりして、その度に「ああ夢じゃなかった」と思い知らされていた。

 42歳の厄年。私たちの地方では大規模な同窓会をします。それと並行して同年に行われる祭りに厄払いの大トリの盛大な花火を上げる事が慣例です。
 その歳の花火に、やはり霧子ちゃんの名前はありませんでした。
 この期に及んでようやく、私は彼女の死を納得できました。本当に、本当に死んでしまったんだ。
 同窓会のその日に、私は違うクラスだったけど墓前参りに同行させてもらいました。

 霧子ちゃんの死を私は15年近く全然納得できなかった。
 死ななければならい理由が、最後にきちんと話した貴女から感じる事が出来なかったから。
 どうして死ななければならなかったのか、私には判らない。だから納得できなかったのかもしれない。
 だけど、理由なんかともかく、貴女は今安らかに眠っているんだね。
 大勢の友人に見守られながら。
 お墓の前で、そんな気持ちになった。
 霧子ちゃんのクラス担任の横で手を合わせて、なんだかきっととても安からなんだなぁとそう感じた。
 病のせいもあったのかもしれない。
 いろんな気持の行き場が無くなったのかなぁと、そんな事をつらつらと考えていた。
 私としてはこの件で、霧子ちゃんについて考えていた長年の想いがちょっと整理が出来てすっきりしていたのだった。

 それから半年。
 旦那の友人で企業顧問をしている人がいる。彼の話は一年前ぐらいから聞いていた。
 久々に会った友人が仕事絡みで司法に詳しいらしい。ちょっと一緒に飲みに行く。とか、会って話すとか親交を新たに深めているらしい友人がいる事は知っていた。

 ちょうど家でゆっくり飲んで話していた時だった。
 その友人の話になった。妹が私と同じ歳らしくて亡くなってるとその時初めて旦那は言った。
「え?高校であんたと一緒だったんだよね。」
「そうそう」
「私と中学の学区は一緒だよね?・・・名字はなんだっけ?」
「藤野」
「ええええええっ!!ちょっと待って。それって、藤野って・・藤野で自殺してる同級生いるけど・・・ほら、去年の同窓会でお墓参りに行くって言っていた・・・」
「え?その子なの!」
 その後、自宅町名を聞いたらバッチリ符号。
「じゃ、彼は霧子ちゃんのお兄さん!?うそぉぉぉ!!」

 旦那も私も、鳥肌が立ちました。
 記憶を辿れば、確かに兄がいる様な発言があった気がします。
 旦那は私が長年悩んでいた事も承知していたので、まさかそれが友人の妹とはつゆ知らず、しかも亡くなったとは聞いていたけれど自殺とは全く知らなかったのでした。
 私としては、昨年墓前参りしたことでかなりすっきりしていたので、まさかまたしても彼女絡みで関わりが出てくるとは思いもよらず、なんだかせっかくすっきりしたのにどうしてなんだという利己的で申し訳ない思いのですが、そんな気持ちになりました。

 縁がある。というのは、こういうことなのでしょうか。

 そうは思いたくないらしい旦那は、その後何度か彼に会ってはいるけれどその話は全くしていないそうです。(まぁ、し辛いしな)
 であれば、縁も所縁も生まれない私が口を出す事ではないので、そのままの状態です。
 個人的に、もはや会うのも怖い気もしますし、会わない方がいいのではとも思います。
 縁なのか偶然なのか。
 縁ならば、きっと避けていたとしても否応なく会ってしまうのでしょうから、そうでなければ偶然だという事だと思います。

 旦那の話によれば、霧子ちゃんのご家族はあまり幸福とはいえない現状だという。霧子ちゃんの死で完全にバランスを失ったままのようだ。
 霧子ちゃんはその様子をどう思って見ているのだろうか。
 私はともかく、クラスの友人たちに与えた痛みをどう思っているのだろうか。
 彼女のクラスの友人たちは悲痛なまでに毎回毎回、墓前参りを欠かさない。仲が良いだけに全クラス中でも抜きん出ててクラス会が多いのに。
 同行させてもらって、とても喜ばれた。もう、あまり参加する人がいないのだそうだ。
 みんな風化してしまっていて、特に仲が良かった人も少なく、当時のクラス委員や責任感の強い人たちが参加するだけになっていたらしい。
 それはそれで、また哀しい。
 人の死ってなんなのだろう。

 私の親友が同じクラスなのだが、彼女が墓前に参った話はそういえば聞かない。
 それは個人の自由だから親友が悪いわけでもないのだが、それでも、人の死ってなんなのだろう。
 幸いな事に、私たちの同級生は彼女ともう一人病死をした人がいるけれど、あとは元気に生きているらしい。
 本当に、人の死ってなんなのだろう。

 いろんな事があったんだろなとか、二次障害だったのかもしれないとか、思うけれど。でも、だけど。
 やっぱりズルいと、ちょっと思うよ、霧子ちゃん。
 少なくなったとはいえ、担任の先生を始めクラス委員とかそれ以外にも、たくさんの人の想いを受け止めることなく死んじゃうのは、やっぱりズルい。

 霧子ちゃんは、正直さに正直で返す事を知っていたのに、誰にも何も言わずに死んでしまった。
 先の彼は、死ぬかもしれない事を黙って、そのまま死んでしまった。

 どうしようもなかったのだとは思う。

 だけどちょっとズルいじゃないか。
 ちょっと、そういう気がする。
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